魚を捌けば人生全て上手くいくⅢ


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魚を捌く必要性について

なぜわざわざ自分で魚を捌く必要があるのか、刺し身を買って食べたら十分じゃないかこのタコと思われた人は多いかもしれないが私はkai(貝)だ。確かに刺身を買って食べても魚は摂取出来る。おまけに楽だ。しかし、それには致命的な問題がある。

スーパーで売られている刺身の値段は私の感覚からすれば高すぎる。鯛の切り身がたったの5切れで400円など実に馬鹿げている。私の弁当は原価80円だぞ!

鯛など大きさにもよるが1匹1,000円以下で買える。スーパー玉出なら2匹で1,500円で売られてたりする。チヌ(黒鯛)なんて市場に行けばそこそこデカいのが2匹で1,000円だ。鯛とチヌの味の違いなんて誰にわかる。

魚1匹を買うとどれだけ切り身が出来るかというと、鯛の切り身5切れとは鯛を3枚におろし、片身の中骨を切り分け、その片身(1/4)の柵から5切れ程度切り取ったもの。約1/8以下。1匹500円のチヌなら62円。鯛でも125円以下。つまり自分で捌けば魚のコストは劇的に下がる。

魚を捌くメリットはコストだけではない。身以外の部分も手に入る。具体的には頭、カマ、骨、内蔵(肝)、皮、白子など。頭や骨はあら炊きにすれば抜群の出汁が出るし、カマは塩焼きで食べてもいい。皮や白子、肝は茹でてポン酢もいいし、魚の肝は肉の肝よりあっさりしていて美味い。

魚を捌くことによって得られる技術と集中力

魚を綺麗に三枚におろすには技術がいる。ヒレに沿って包丁で切れ込みを入れ、骨の上ギリギリに刃を滑らせる。骨から身を剥がし、身から腹骨を薄くすき、中骨を薄く切り分け、皮だけを綺麗に引く。一朝一夕で磨かれる技術ではない。私も何百匹と捌いたがまだまだ習得には遠く及ばない。

魚と向き合ったとき私は無心になる。『綺麗に捌きたい』この思いが私の集中力を極限まで高め、超集中状態であるゾーンに入る。嗅覚も敏感になるので頭を落とした瞬間に「生ぐせええ!」となることもあるが、身が綺麗に開けたときは感動するし、20匹捌き終えたときは何かとてつもない達成感があった。

何かに没頭すると集中するクセがつく。そしてこれは仕事にも応用が利く。集中して仕事に励むと仕事は捗り、効率は上がるし、上司や顧客からの評価が上がれば稼ぎは増える。

この原稿も極限まで集中した状態で仕事中に書いている。問い合わせを全部無視して集中できているのは普段魚を捌くことで培われた集中力のおかげだ。

また、魚を捌き続けると包丁の技術も上達する。包丁を研ぐようにもなる。私なんて自分の名前入りの包丁まで買う始末。料理人でもない人が包丁の腕を上げて何の役に立つのと言われると…、、今のところ答えは見つかっていない。

魚を捌くとモテる

魚捌きとモテに一体何の相関性があるのか意味がわからない人は多いだろう。確かに魚を捌く行為自体がモテの対象になるわけではない。「趣味は魚を捌くこと」と聞いて好意的に思う女性も中にはいるだろう。それはそれで素晴らしいことだが本質ではない。

魚捌きが生活に定着すると物事の優先順位のトップが魚になる。なぜなら魚はすぐに捌かなければ痛むからだ。手元にあれば可及的速やかに捌かなければならない。つまり優先順位を女性から他のことに変えることこそが新の狙いだ。

例えば私の元には毎週鮮魚が届く。届いたら当日、または翌日までに捌いて柵にしなければ劣化がすすむ。時間との争いだ。特に私のように何十匹もまとめて捌くとなるとかなりの時間を要する。そして女性とアポを組む暇はなくなりこのようになる。

 

 

 

 

 

 

魚 >>>>> 女

相対性理論級の公式だ。女性とアポなどいつでも組めるがその日届いた魚はその時捌かなければ劣化する。せっかく朝取れた新鮮な魚が送られてくるのに、優先順位のつけ間違いで鮮度を落としてしまうなど魚に対する冒涜だ。そして、この公式が頭に完全に刷り込まれたとき、四六時中魚のことばかり考えるようになる。私はこの状態を魚心【ぎょしん】と呼んでいる。

魚心とは

魚心とは頭の中が魚で一杯で他のことを考えられない心理状態のこと。何をしていても、誰と話していても基本的に魚のことしか考えていない。この状態で女性と接すると相手には、まるで自分に全く興味がない自然な態度の男性に映る。

モテるためには必死感が伝わってはいけない。逆説的だがモテそうと思われるために必要なのはモテなど一切考えないことである。常に余裕と自信に満ちた状態で自然に接することが何より重要だ。だから魚の優先順位を上げ、魚のことばかり考えて、興味対象を女性から魚に変えればいい。女性と話していても魚心状態なら頭の中はこうなる。

「今週分の柵持つかな…」「足りなかったら冷凍してる〆鯖を解凍して炙ろう」「今週は〇〇市の鮮魚か…、少し足りないかな」「土佐のカツオ美味かったな~」「あら炊き作ったのいつ食べよう」「久しぶりに漁港でも行くか」「太刀魚捌くの苦手だけど…逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」

週末が近づくと魚を捌きたくて体がうずいてくる。魚の到着を今か今かと待ちわびる。そして他のことがどうでも良くなり、何か失敗したとしても

「まぁ、魚捌けるからいっか」

となる。これが私が魚捌きで身につけた圧倒的余裕だ。

魚を捌くと自信がつく

私は最近まで魚が捌けなかったし、今まで捌こうとすら思わなかった。ずっと難しそうだと思っていた。しかし、初めて捌いたときに自分で捌けて視界が開けた。

「そうか!こうして柵が出来るのか!」「下手だけど自分でも捌けた!」「魚捌くのって楽しい!!」と童心に帰って感動した。今まで出来なかったことが出来て自信がついた。自信のつけ方を思い出した。自信とは自分が出来ないことに挑戦することでしか得られない。

最初は魚の頭を落とすのに若干抵抗があったり、魚のエラや内臓がグロテスクで気持ち悪かったが今は何とも思わない。むしろデカい魚の胃袋には小魚やイカが入っていてまるで福袋のように思える。慣れの凄さも実感した。

私は魚を捌くことを通して多くの学びを得た。今はもっと早く、綺麗に、色々な魚を捌きたい。釣りにも興味が湧いてきた。これも私の人生にとても良い影響を与えてくれた思う。

魚を捌けば人生全て上手くいく

奇抜なタイトルではあるが私の思いは伝わっただろうか。魚は美容や健康に良く、減量にうってつけでおまけに老化を防ぐスーパー食材。容姿が改善すれば魅力は増すし、QOLに健康は欠かせない。魚を捌くことで集中力は磨かれ、没頭することで余裕に満ちた精神と自信がつく。

さぁ、そろそろ魚を捌きたくてウズウズしてきたはずだ。出刃包丁、刺し身包丁、ウロコ取りとピンセットを準備したら魚を仕入れに出かけよう。

魚は美味い、そして魚捌きは面白い。

最後にこんなことを言うと本末転倒だが、別に魚捌きでなくとも構わない。捌いてみたけど何が面白いの?と思う人もいるだろう。

何かに没頭すればそれを通じて様々な学びや気付きがあり人生は好転する。前向きな気持ちになれる。本記事ではそれを伝えたかった。俺にとってはそれが魚捌きだっただけで人によって楽しいと思えるものは異なる。

何かに没頭している人はとても魅力的だ。それこそが人の魅力であり、モテの本質だと思う。没頭できる何かを見つけて徹底的にハマろう。変態と思われるくらいになろう。突き抜けている人は常に何かに没頭している。

終演!