先日、部下から「忘年会をしたい」と言われてその主体性に感動した。弊社では忘年会はおろか飲み会の類を一切やらない。別にケチっているわけではなくて、やりたかったら金は出すから勝手にやってというスタンス。みんな酒好きなのは知っていたが幹事不在のため会社の飲み会が開かれることは久しくなかった。
それが少し気がかりでもあった。俺が仕事で汗を流すのではなく平日昼間のジムで汗を流せるのは、丸投げした仕事をこなしてくれる部下のおかげだ。だからたまには飲みに行って奢ったり、俺への不満を聞いたりして日頃の労をねぎらわなくていいのか、と。
自分が幹事をして飲み会をしたほうがいいのか、しかし俺が参加したら気を使うだろうし、店を手配したところで参加者が少なかったら余計なお世話だしとか色々考えていたが、誰かが幹事をして社長不在の忘年会をやってくれるならそれが一番ありがたい。
それなら俺は行かなくて済むし社員同士で気兼ねなく飲み会を楽しめばいい。俺はそもそも行きたくないし、仕事以外で話したくないし、誰にも興味がないから聞きたくないし、自分のことも聞かれたくない。
誰がやろうと言い出したか知らないがすでに12名も参加表明があったらしく、実は飲み会したい人が多かったことに驚いた。社長も参加してほしいと誘われたが「皆で行ってきて^^」と笑顔で断った。どこの店でやるか聞いて別注で舟盛りとか付けられるなら手配しておこう。
上司不在の会社の忘年会なんて珍しいと驚かれるが俺はそのほうが良いと思っている。飲み会は楽しい時間を過ごしたり親睦を深める場。 多くの人に参加してもらうためには上下関係や利害関係が出来る限り及ばないように配慮したほうがいい。また、楽しい会にするためには参加者の主体性を何より重んじなければいけないので誘うのは構わないが参加を強要してはいけない。
会社の忘年会などの恒例行事は社長や管理職が参加するのが普通で、部下は無言の圧力でほぼ強制的に参加させられることが多い。断れば「空気の読めないやつ」と思われ上役との関係が悪くなったり、クズな上司なら評価も下げられる。一番空気を読めていないのは上司であるにも関わらず。
俺も前職では飲み会に参加してたし、今は取引先の忘年会に絶対来てと呼ばれて参加するが内心「他社の忘年会なんか呼ばれても気をつかうだけだろ空気読めボケ」と思っている。参加費と銘打った協賛金も持参するが、相手は俺を客人として呼んでいるつもりなのが最強にありがた迷惑。
一般的な忘年会では社長や管理職が上座でふんぞり返り、部下が酌をしたり、新人が料理を取り分けたり、司会を務める中堅社員が社長の機嫌を伺ながら司会を進行しているが見ていて目眩と吐き気に襲われる。
忘年会とは部下の労をねぎらう場。下座に座るのも、酌をするのも、料理を取り分けるのも、幹事や司会も、社長や上司が率先してやれと思う。にも関わらず周囲にまるで気を使うことなく、自分が気を使われて当たり前と思っている。
会場では、司会の進行にあぁだこうだと社長が口を挟んだり、そのやりとりを見ている他の社員の作り笑いで場が和んでいるように見える茶番劇「THE 会社ごっこ」が繰り広げられている。
バカな経営者を担ぐ社員も同等かそれ以下のバカなのだろう。中小企業は良くも悪くも経営者次第なところが多いので、どれだけ気が回るかで頭のキレ度、腰の低さで器量を見たほうがいい。どちらも無ければ人望がない。
おっさんに対しても同じことを思う。若い人は基本的に歳上に気を使う。敬語は当たり前だし、失礼のないよう振る舞ったり、クソつまらないどうでもいい話にも付き合う。歳上を敬うのは礼節だからだ。
普段家で汚物扱いされて惨めな思いをしているおっさんからしたら飲み会は部下や歳下に気を使われて偉そうぶれるエンペラータイム。だから若い人は会社の飲み会嫌いでおっさんは大好きなのだ。キモいおっさんは自分が気遣われていることに対する気遣いが欠如しているが、最も気遣わないといけないのは歳下や部下、店員等、立場が弱い相手だ。
部下や後輩、歳下に誘われるなら別だが、自分が行けば気を使わせてしまう飲み会なら参加は控える。それが自分の経営する会社の飲み会なら金だけ全額負担して社長は参加せずに俺のように1人公園でハイボールでもすすっていればいい。経営者とは孤独なもの。利害関係が絡むところに自分の居場所を求めてはいけない。逆に利害関係のない繋がりにこそ自分の魅力が問われる。
キモい大人が多いので自分もそうならないように気をつけようと思います。
まぁ、、、常に1人飲みですけどね。
終演!