前回からの続き → 魚を捌けば人生全て上手くいく
魚こそ最強の減量食
デブが減量して体脂肪率を落とせば容姿は劇的に改善する。因みに私が言う減量の目標レベルとは平均体重ではなくBMI値18.5以下の美容体重だ。あなたの身長が175cmなら56.6kg以下、体脂肪率も10%以下で低いに越したことはない。魚は高タンパク質で良質な脂が豊富に含まれるため減量に最適な食品だ。
「タンパク質ならアジを丸一匹食べても15gしか取れないのに対し、牛肉なら300g食べれば90g取れるから魚より肉のほうが良い」というおバカな記事(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50409)を見つけたが、牛肉300gとアジ1匹(可食部70g)を比較するのが間違っている。比較するなら含有率でアジならタンパク質は19.7%。牛肉は部位によって異なるが肩の赤身なら20%、もも肉なら21%、ヒレ肉なら19%。よってタンパク質の面でも魚は牛肉に劣っているわけではない。
また、肉類と比較して高カロリーな魚もあると注意を促す記事(https://josei-bigaku.jp/dietsakanaryouri21588/)も見つけたが、この著者は肉と魚のカロリーの質(脂質)が異なることを理解していない。
牛肉赤身(脂肪なし)は100gあたり136kcal 豚肉ロースは263kcal 鶏胸肉(皮なし)は108kcal。それに比べ、サバは100gで202kcal、ブリは257kcal、サンマはなんと310kcalだ。これだけを見て「サンマは高カロリーなのでダイエットには注意が必要」というのは馬鹿げている。
サンマのカロリーがなぜこれほど高いかというとサンマには良質な脂が豊富に含まれているからだ。この脂とは前回積極的に摂取すべきと書いた不飽和脂肪酸であるオメガ3のこと。肉類や乳製品に含まれる脂は飽和脂肪酸で魚の脂とは性質が異なる。
肉は脂質の少ない部位や、例えば鶏肉なら皮を除くことで余分な脂質を抑えることができる(これによりカロリーが低くなる)が、魚の脂質は身の全体に含まれているため皮は除去できても身から除去出来ない。だが、魚の脂質は除去する必要がないどころか積極的に摂取すべきだ。
脂質について
オメガ3や飽和脂肪酸と何度も言ってるが、脂肪酸とは食品の3大栄養素の一つである脂質(脂肪)のことで3大栄養素はタンパク質、炭水化物、脂質の3つに分類される。これにカロリーのないビタミン、ミネラルを足したのが5大栄養素。
脂質はまず、常温で固体化する飽和脂肪酸(肉類やマーガリンなど)と常温で液化する不飽和脂肪酸に分類される。次に不飽和脂肪酸はオメガ9と呼ばれる一価(単価)不飽和脂肪酸(オリーブオイル等)と多価不飽和脂肪酸に分類される。
最後に多価不飽和脂肪酸がオメガ3(魚やくるみ等)とオメガ6(サラダ油)に分類される。体内で合成できない必須脂肪酸であるオメガ3とオメガ6の摂取割合は1:4が理想と言われているが現代人はオメガ3が1に対してオメガ6が10~50とかけ離れている。無理もない。サラダ油で揚げた唐揚げやとんかつなどの揚げ物を食べれば一発で一日の摂取量をオーバーしてしまう。
魚のGI値と血糖値を下げるGLP-1について
減量で大切なのはカロリーだけを気にするのではなく、その食品のカロリーの質(N/Cレート)やGI値(グリセミック指数)、アミノ酸スコアなどの数値を重視しなければならない。カロリーだけで判断するのは典型的な情弱だ。人工甘味料が使用されているゼロカロリー飲料など飲めば飲むだけ太りやすくなる。
では魚のGI値を見てみよう。
アジ 40 サバ40 サンマ40
牛肉(サーロイン)45 豚肉45 鶏肉 45
肉も魚も低GI値だが魚のほうがさらに低い。また、魚のオメガ3に含まれるEPA(エンコサペンタエン酸)は中性脂肪の吸収を阻害し、血糖値を下げるGLP-1(インクレチン)というホルモンの分泌を促す。GLP-1が分泌されれば痩せるわけではないが、太りにくい体質になる。
過去にサバ缶を食べれば痩せるとテレビで取り上げられたら翌日にスーパーからサバ缶が消えた伝説とはEPAのことだが、サバだけに含まれているわけではない。EPAやDHAは魚全般に含まれているし(特にマグロ、ブリ、サンマといった脂質の多い魚)、サバ缶は加工品で保存料や添加物が含まれているので魚単体から摂取したほうがいい。
結論、魚は減量中でも積極的に摂取すべき最強の高タンパク質である。私自身も現在BMI値18.5以下、体脂肪7%以下で魚をメインに海藻類、野菜、キノコ類を食べて維持している。白身魚(タラ、カレイなど)は低カロリーだからOKだけど高カロリーのサンマは控えよう!といった情弱記事には騙されないで頂きたい。EPAが豊富な高カロリーな魚はむしろ積極的に摂取すべきだ。
魚で得られる健康効果
魚の効果は美容や減量だけではない。健康面でもとても優れている。健康を保ち、病気にならず、万全のコンディションを保つことはQOL(Quality Of Life)の維持に欠かせない。
魚は科学的根拠に基づいた健康に良いと分類された5品目の一つ(津川友介氏「究極の食事」より)。ちなみその他の4品目とは、茶色い炭水化物(玄米、全粒粉、蕎麦)、野菜と果物、オリーブオイル(オメガ9)、ナッツ類(オメガ3)だ。
津川友介氏の著書によると、魚を1日60g摂取する人は、魚を全く食べない人と比べて死亡率が12%低いとのこと。また85g~170g食べる人は心筋梗塞による死亡リスクが36%低下するといわれている。何が作用しているかというとやはりオメガ3だ。オメガ3の血流を促す作用により心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化による病気を予防し、大腸がん、肺がん、乳がんのリスクも下げる。
まだ研究途上ではあるが、オメガ3はインスリン抵抗性を改善するため2型糖尿病の発病リスクを低下させたり、認知症の予防になるという結果も出ている。また、魚にはオメガ3だけでなく、他にも様々なビタミン、ミネラルが豊富に含まれている。健康への悪影響が懸念されるのは本マグロやクジラ(魚ではないが)、カジキなどに多く含まれる水銀だが、これも食べ過ぎなければそこまで問題はない(妊婦さんは胎児へ影響があるので極力控えましょう)。
このように魚は美容や健康に良く、アンチエイジング効果もあるため積極的に摂取すべきというのは理解頂けたと思う。
さて、ここまで読んでお気付きの方もいるかもしれないが、一度スクロールを戻して記事のタイトルを見ていただきたい。
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これは「魚を捌けば人生全て上手くいく」という記事だ。
しかし、肝心の魚を捌くことにまだ触れていない。
これでは「魚を食べれば人生全て上手くいく」だ。私も今気付いた。では最後は魚を捌くことが私たちの人生にどのような影響をもたらすかについて説明する。