医院長から「法人名義に振り込もうか?」と提案があったらしいが間違いなくそうしたほうがいい。給料ではなく法人か個人事業主として売上2,000万/年で計上すれば売上の原価として家賃や車両費、食事代、交通費等様々なものが経費計上できる。
— kai (@kai25_8) January 5, 2020
売上-原価=利益(給料)
利益を減らすほど節税できる。
歯科医の友人が毎月上がる給料と連動して上がる税額の高さを嘆いていた。日々コツコツと領収書を集めながら節税に勤しむ俺にとって彼の姿はまるで体中に包丁がささって流血しながら生活しているようなもの。
仕事のこと以外全くの無知で節税のせの字も知らない彼は医院長の提案の意味もわかっていなかったのでそれを説明したとともに下記の2冊もオススメしておいた。
今回は友人に説明するつもりで本記事を書いた。因みにその友人は俺のアカもこのブログも知らないのでこの記事が彼に届くことは未来永劫ない。アーメン。
累進課税の地獄
まずサラリーマンの給料と事業主(法人or個人事業主)の給料では考え方が全く異なる。事業主が従業員に支払う給料は売上の原価にあたる労務費だが、社員ではない人に報酬を払えば払う方は原価に変わりないが、もらう方は売上となる。そして売上から原価を差し引いたものが利益。これが個人事業主の場合の給料に該当する。
給料が170万の社員の場合、170万に対して社会保険料(厚生年金、健康保険)、所得税、住民税が天引きされて手取りが110~120万ほどになる。ここから家賃や食費、通信費、旅費交通費、車両代(車代、ガソリン、駐車場、高速代)、外食費、生活消耗品費を支出する。『当たり前じゃん。バカじゃないの』と思ったあなたは完全にサラリーマン脳に侵されている。
では次に今働いている会社をやめて個人事業主としてその会社から給料の代わりに業務委託費として170万をもらったらどうなるか。業務内容は以前と同じだ。この場合、自分はその会社の社員ではなく外部の人間なので受け取るのは給料ではなく業務を請け負った報酬としての170万となる。
この報酬170万は売上なので、これを稼ぐために必要な経費は原価として計上できる。自宅が事務所も兼ねているのなら家賃の半分以上は経費計上できるし光熱費も同様。仕事を請け負う医院に訪問(通勤)しているなら電車代、車代もガソリン代も駐車場代も、出張もあるなら高速代も経費計上できる。
報酬を支払ってくれる医院の医院長は客人にあたるので食事を奢る(接待)こともあるかもしれない。その場合顧客と行った飲食店の食事代も経費計上できる。請求書や経費計算といった事務処理を奥さんや外部に委託するならその人件費も計上できる。
個人事業主の場合でざっくり計算してみると
【売上】 1,700,000
【原価(営業原価&販売費及び一般管理費)】465,000
内訳
・賃借料 100,000(家賃)
・労務費 100,000(嫁の人件費)
・通信費 20,000(スマホ、ネット)
・車両費 120,000(自宅と勤務先の駐車場、車代の減価償却、ガソリン、高速代)
・旅費交通費 30,000(宿、移動代)
・交際費 50,000(食事代)
・消耗品費 30,000
・水道光熱費 10,000
・新聞図書費 5,000
【利益】1,235,000円 (1,700,000-465,000)
この利益123万に対して税金が課される。当然年収170万より123万のほうが納める税金や社会保険料は抑えられるし、既に生活費は原価に含まれているため(支払い済)123万の手取りからの出費も抑えられる。
これは個人事業主の場合だが、仮に法人にすれば自分が100%株主の会社に自分を雇用できる。その場合自分の給料をいくらにするか自分で決められるのでさらに給料を抑えて税金を抑えることも可能だ。我々中小企業経営者はこのように個人にかかる所得税率と法人税率を両天秤にかけ、それらが均等になるように調整している。
年収4,000万以上は税率55%(所得税45%+住民税10%)で頭打ちになるのでそれ以上はどれだけ稼ごうが税率は変わらないが、年収1,000万~3,000万は累進課税が段階的に跳ね上がり上限に近づく段階であることと、年収1億以上の人と比べて手取りに占める生活費の割合(%)が大きくなるため節税効果はより大きい。
要は年収1億以上稼ぐ人にとって生活費をセコセコ節税したところで比率で見れば大した額にならないが、年収2,000万の人が年間500万の生活コストを経費計上して年収1500万まで抑えれば年収の4割が節税できる。
これを制した人は手取りをそのまま貯蓄にできるので資産形成のペースが指数関数的に早まる。逆を言えば年収2,000万~3,000万を売上ではなく給与でもらい続ける人は国からボラれ続けるので金が全く貯まらないか貯まる速度がカメレベルに遅い。
では年収1,000万以下だと節税効果はないかと言われれば額の問題だけでもちろん効果はある。デメリットは個人事業主の場合、会社で加入している厚生年金や健康保険には入れず、個人で国民年金と国民健康保険に加入することになり納付しなければいけない保険料も上がる。しかし、社員をやめて自分の給料を売上にすることで得られるメリットのほうが多いと思うので俺が彼の立場なら即フリーランスとして働く。
自分がこの手の計算や申告が苦手で奥さんが専業主婦なら奥さんにお願いするという手もある。ただし、その場合は自分の懐事情は丸裸にされることを覚悟しなければならない。
この手の話は昔書いたことがある。
https://note.com/25_8_/n/nd2505e9847d2
ご興味あればどうぞ
終演!
参考文献
新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ (幻冬舎文庫)改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)
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