ダメな営業の見分け方

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今まで10年以上法人営業をやってきたので、他人の営業に対して思うことは多々ある。上記ツイートは式場見学に行ったとき営業担当者に対して思ったこと。

1会場目の男性スタッフはウエディングプランナーではなく会場説明の担当者で、ゴリゴリ営業はされなかったが、2会場目のウエディングプランナーがまさに典型的なダメ営業だった。

 

ダメな営業の見分け方

 

無愛想だったり横柄な態度の営業は論外だが、逆にヘコヘコしまくるバカ丁寧な営業も自信がなく見えてダメだ。お客様は神様という価値観は既に賞味期限が切れており、サービス提供側と客の関係に上下関係などない。今やサービス提供側が客を選ぶ時代で、むしろ客を選ぶぐらいでなければ生き残れない。

今回のウエディングプランナーは手書きで作ったメッセージカードをテーブルに準備してたり「お近づきの印」と会っていきなり花を渡してきた。

「それの何がダメなの?そこまでしてくれて良い人じゃん!その気持が嬉しいじゃない」と思われる方もいるかもしれない。もちろんそう思う人にとっては効果があるとは思う。だが、これらの行為は全て自分が契約を取るためにやっていること。つまり自己視点だけで顧客視点を考慮していない。俺の性格は螺旋階段のようにひん曲がっているのでこんなことをされたら相手に強い懐疑心を抱く。

契約が決まったあとにお礼の花を渡されたり、感謝のメッセージカードを渡されたなら喜んで受け取ろう。しかし、これから検討を始める初対面の相手にいきなり物を贈ったり、手の込んだメッセージカードを作るのは相手に対するただの媚びであり、返報性の法則を利用して相手が断りにくいようにしているだけだ。

反復性の法則について詳しく知りたい方はこちら

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

俺が接待するのは日頃お世話になっている取引先に対する感謝の気持ちであって、相手の家族や奥様に媚びることはあっても、新規の仕事を取るために媚びることはしない。初回取引は自社の製品やサービス、価格で勝負すべきで、物の贈与や接待は日頃の感謝やお祝いでするものだと思っている。何かをあげるにしても理由がなければ相手は受け取りにくいし、気を使わせてしまう。

自分の売りたいものを売ろうとしてくる営業は三流で、会社や上司から売れと言われた商品や在庫処分品、売れ残りを勧める行為は全て自分の都合しか考えていない。

優れた営業とは顧客視点に立って、顧客のためになる提案を考える。例えばその商品やサービスを売れば自社にとって利益があったとしても、それが顧客のためにならないと思うなら絶対に売らない。なぜならそれは顧客のためにならないからだ。

Client Interest First(顧客利益第一)

顧客視点で必要なものを見極めて顧客のためになる商品だけを売る営業こそが信頼を得られる。

例えば俺の場合、コスト重視の客だとわかれば競合他社を勧めるし、価格交渉されたり、したくないことは「出来ない」「無理」と即答している。あまりに即答しすぎて「責任者と代われ!」とキレられたこともあるが、自分が責任者なので問題ない。金しか見ないケチな愚客など相手にしない。

また、すでに事業の地盤を築き売上も確保しているので必死に仕事を取る必要もない。よってコスト重視の客がいても相手に合わせて値段を下げる必要がない。 逆に今年に入ってから片っ端から値上げして利益率を上げている。

恋愛と同じでモテる人は需要があるので相手に媚びない。実際に自社の商品やサービスに需要があるなら顧客に困らないのでその場で即決を求める必要もない。式場の即決を躊躇って他の客に候補日を取られて困るのは相手だ。

今回のウエディングプランナーは【その場で即決した場合のみ割引】みたいな相手を焦らせて即決を促す定番の手法を使ってきたがこれも悪手。例えそれが会社の方針であっても、即決を取れば自分の評価が上がるとしても、自分の視点しか考えない人を俺は絶対に信用しない。

しかも最初に出した見積りと後から出してきた即決の場合の見積りの差額は60万もの開きがあった。始めて会った瞬間、いや、もっと言えば見学予約した後にかかってきた電話の口調を聞いた瞬間から苦手なタイプと思っていたが、見積りを見てさらに印象が悪化した。

また、他に気になる式場を聞かれて答えたらその式場をディスってきたが競合をディスることで自分の優位性をアピールするのは最悪のやり方。口説こうとしてる女が他に気になる男の話をしだしたらその男の欠点を指摘し、自分の優位性を必死にアピールすることで無し判定を受ける非モテと同じ構図。

俺がプランナーなら他の式場のことなんて一切聞かないし、もし相手が気になる式場を言ってきたらその式場の良いところと、自分の式場との違いを伝える。そして相手の優先順位的にどの式場がベストかを一緒に考える。

その結果他の式場がベストと思えばそれを伝える。なぜなら別の式場を提案できるほど相手のことを考えられる人が一番信頼されるから。その場合、もし俺が別の式場を提案されたら信頼出来る人の式場を選ぶ。その人に心を奪われるからだ(絶大な信頼を置く)。そしてこのような提案が出来る人こそがウエディングプランナーのプロフェッショナルだと思う。

優れた営業に必要なのはトークの上手さや接客の丁寧さ、引かないしつこさではない。 一番最強の営業とは相手にどれだけ信頼されるかで、それを得るためには顧客の利益を最優先に考えなければならない。

これまでに述べてきた項目で信頼出来るかどうかを見分けている。また、自分が仕事をする上では相手に信頼してもらうにはどうすればいいかを考える。 営業で上手くいかない人は相手の利益を考えているか思い返して欲しい。足りていないのは信頼かもしれない。

大阪の式場は5会場見学する予定なので見学が終わればディスりも含めた感想でもまとめようかな。

終演!