中小企業経営の実態と税制の大切さ


たまには真面目に金の話をしようじゃあないか(DIO風)

これでも俺は曲がりなりにも経営者だ。今回はサラリーマンの人たちにはあまり接点のない事業主のおっさんどもの思考を晒そうと思う。

まず会社経営、持続発展においてなにより大事なのは売上だ。これが立たねば何も始まらない。いざ本番というときに男のちん…いや、やめておこう。俺は下ネタが嫌いだ。品がない。ただの白湯をすするさまが、まるで高級ハーブティーを飲む貴族を彷彿とさせるこの俺に下ネタなど似合わん。そんなものは非モテどもに言わせておけばよい。

話を戻そう。

まず何をするにも売上が勃起することが大前提なわけだが、その売上から経費(原価)を差し引くと粗利が出る。次に粗利から販管費(役員報酬や接待交際費など製造原価以外の経費)を差し引くと営業利益。そこから受取利息や支払い利息、配当などを差し引いたのが経常利益で、最後に固定資産の売却や有価証券売却益等を精算して残るのが純利益だ。この純利益が法人税という名の国のカツアゲ制度の対象となる。

中小企業の法人税の実効税率は純利益800万までが19%。分離課税(個人の株の売買等にかけられる税金)の20%と同じくらいと思ったら大違いだ。個人の株の売買は各種税引き後の手取りで行うわけなので実質の税率は法人実効税率よりはるか高い。

また個人所得にかかる累進課税のMAXは55%(住民税含む)。だから役員報酬(社長の給料)は累進課税と法人実効税率を見比べながら低く済むように按分するのが中小企業の節税の基本となる。

つまり、中小企業経営者の実質年収は額面年収だけでは見極められない。家賃一つとってもサラリーマンは税引き後の手取りから払わざるをえないが、事業主は社宅として経費計上することで売上から直接差し引ける。これについては以前説明した。

事業主の額面年収とはサラリーマンが貯金に回せる額と思ってもらえばいい。

さて、冒頭ツイートで俺が何をしているのかを説明すると法人口座の株の売買と減価償却費を調整して利益調整しているということ。

「?」と思われた方。ちゃんと説明するので読んでほしい。

減価償却とは高額なものを購入した場合、法定耐用年数に応じて何回かの期(決算ごと)に分けて経費計上しなければならないという制度。例えば1000万の4ドアベンツを調子にのって買ったとしよう。そしてその期の決算で本業の利益が1000万円出たとする。

「1000万の利益が出たからベンツの購入費を全額経費計上して利益と相殺すれば今期は純利益0だね!税金払わなくていいやん♪」

とはならない

このような会社の資産となりうるものの経費は一回で損金計上することは許されない。少額で言えば15万を超えるPCなんかもそうだ。

もちろんこれは「やっべ!今期利益結構出そう!それなら好きなもん買いまくって純利益と相殺したろ☆」という誰でも考える経費計上により、法人税から逃れようとする輩の首を吊るして血祭りにあげる制度でもある。

仮にこの場合(ベンツ)の減価償却費の計上限度額が400万(買った月により異なる)だとしたら残りの600万は純利益となり、110万ちょいを税務署に問答無用でカツアゲされる。来期が黒字になる保証はどこにもなくとも、だ。

逆に利益があまり出ていない場合は減価償却費の計上を抑えてギリギリ利益が出るか出ないか、または少し赤字に調整することで、残りの経費を次期に回す(飛ばす)ことができる。この点は優れている。減価償却費の計上額を調整することで利益調整が出来るのだ。

日本の中小企業がほぼ赤字というのはこのように法人税を払わなくて済むように純利益をコントロールしているからで、実際黒字にしようと思えばなんとでもなる。

普通の経営者はこれぐらいしかしないが、俺は個人、法人問わず株式投資をアグレッシブに行っている(よって貯金はほぼない)。

法人口座での株式投資の最大のメリットは株の売買の損益を本業の業績と合算出来ること。互いの損益を相殺出来る。そこで冒頭のツイート

本業ではコスト減や効率化により利益増の見込めるものに(金を借りて)設備投資して減価償却の枠を増やす。そして株の売買で利益が出た場合は減価償却をMAX計上して本業の経常利益を赤字にする。

その上で本業の赤字と株の譲渡益を相殺して仮に純利益を0に近づけたとすればあら不思議、本来株の売却益でカツアゲされるはずの税金がぶん取られなくなる。(俺の場合は法人実効税率19%が適用される800万までは利益計上を許諾している)

逆に本業の調子がよくて利益が出ているときは、ヘマして塩漬けにしている含み損の出ている株などを売却すれば本業利益と相殺できる。

もちろんこれらは利益の先飛ばしでこれ自体が節税になるわけではない。先飛ばしした利益はいずれどこかで税の業火で焼かない限り、一生BS右下の純資産に刻まれることはない。しかし、本業なんていつコケるかわからない(株も)のだからそのためのリスクヘッジとして含み益/含み損のある株をプールしておくのは極めて合理的な経営手法だと思っている。

株の運用の成果が悪すぎれば本業の足を引っ張るだけでしかないが、別にMSCIやひふみ投信でも買っておけば年8%程度で運用してくれる。この含み益は本業が傾いた時に相殺できるストック利益となる。

あとは利益があれば毎期800万までを純利計上し、法人税19%で焼いて残した金で自己資本を高めていくのが盤石な経営だろう。自己資本比率が高いと倒産のリスクが減るため銀行の印象も良くなる。

銀行は投資のためには金は貸さないが、本業の設備投資や運転資金のためなら結構貸してくれる。それに今は金が余っている。今の超低金利であれば、法人税で焼いた金を運転資金や設備投資に充てがうよりも、借りられるだけ金を借りて、余った資金を投資に回したほうがいい。仮に金利0.35%で借りて8%で運用すれば、7.65%が儲けなわけだ。

もちろんこれは俺のやり方で経営者によってやり方は様々。余剰資金を不動産に投資して収益を盤石にしたり、船や飛行機に投資して利益を先に飛ばすオペレーティング・リースといった方法もある。ただ共通して言えることは事業主の悩みは税金だということ。

税制とは知識を持たぬものが損をして、知識あるもののみが逃れられるように作られた残酷で無慈悲な仕組みだ。ふるさと納税や医療費控除一つとっても全てが還付方式。知らない人だけが損をする。まぁ知らない時点で損している実感もないんだろうが。

税制には敏感になろう。誰も自分の身(金)は守ってくれない。国は制度を複雑化することで愚民から巧妙に金を毟り取ることしか考えていない。いつの世も自分の身を守るために必要なのは知識なのだ。

===================================

◆ 告知 ◆

いよいよ今週土曜日です。yuuさんも経営者ですので、この記事のような税の話も出来たらと思っております。尚、泥酔キャスになることが予想されますw

お楽しみに♪

終演!