協奏曲 第-1番 第三夜(最終章)

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「協奏曲 第-1番 第一夜」
「協奏曲 第-1番 第二夜」
(※飛ばして読むと話が繋がらないので是非順番にお読み下さい)

 

協奏曲 第-1番 第三夜(最終章)

 

この一件はどこまでもバカな俺にも流石に堪えた。本気で情が移るというのがここまで辛いとは思ってもみなかった。

それからはセックスだけに標準を絞った。

抱ければいい。抱きたいと思う子にアタックして抱ければOK。ダメならダメで気にしない。その後どうするかはあとから考えればいい。感情移入もしていないのだから心は痛くも痒くもない。あとはそれをただ淡々と繰り返す。

今思い返せば完全に合理的な恋愛戦略だった。

 

残りの学生期間は出会いの多そうなカラオケでバイトした。そこで出会ったバイトの子といい感じになったり、客からバンゲして後日準即したりとそれなりにただれた性生活を送っていた。

部屋に誘うのは簡単だった。

「俺、料理得意だから今度作ってあげる(^^)」

もちろんちゃんと作る時もあった。

事実、高校時代に料理を作っていた経験があったので、パスタ、リゾット、カツレツ、オムライス、何でもサクッと作れる。味もまぁまぁいける。当時料理男子はまだまだ少数だったので反応も悪くなかった。

しかしそれすら面倒なときはカップ麺にお湯を入れて黙って出した

当然相手の機嫌は悪くなるがそんなもの3分経てば元に戻る。ちょうどカップ麺も食べ頃だ。食事なんてどうでもいい。俺の食事は・・・いや・・・もうやめておこう。ゲスすぎる。

当時流行っていたm○xiで手当たり次第にメッセージを送りまくったりもした。年齢や地域で検索し、出てきた画像から一つ一つ目視で判断する。今でいうペ〇ーズ感覚だ。プロフィールはしっかり整備しておいて、目ぼしい相手を見つけては定型文を送りつける。

熟考に熟考を重ねて編み出した当時の俺の英知を結集した(お前1人な)渾身のメッセージ

 

 

 

「ファブリーズって意外においしいの知ってる?」

 

 

(絶対アフィリエイトのやり方間違ってるって)

 

こんなクソなオープナーで返事が来る相手とやりとりして片っ端から会っていく。そんな日々を続けていた。

 

相手を適当にあしらって接したほうが上手くいくことは多かった。やはり情が移っていいことなんて何もないじゃないか…。

好きな人に誠心誠意尽くしても何も報われることはない。思い返せばいつもそうだった。誠実に、優しく、真面目に相手のことを思えば思うほど相手の気持ちは離れていく。逆に相手と真摯に向き合わない、雑でチャラチャラしている自分のほうが女に好かれている。

「会いたい」と言われたらすぐに予定を調整して会いに行く誠実な俺よりも、「最近忙しくてごめん。」と暇を持て余しながら断る俺のほうが好かれるのだ。

相手に一切金を払わせまいと無理して笑顔で奢る俺よりも、「金がないからどこにも行けない」と言って相手に奢ってもらう俺のほうが優しくされるのだ。

相手のために一生懸命料理を作る俺よりも、黙ってカップ麺を出す俺のほうがウケて喜ばれるのだ。

 

だが、そんな姿勢は地元の友人たちを始め、周囲から反感を買った。今でいうチン〇騎士団である。要は付き合う前にセックスするのはおろか、付き合う気もないのに関係をダラダラ続けるというのが誠実さを欠きすぎているという主張だ。この頃の経験はあの本を読んだ時の衝撃に変わるのだけど、それはまだまだ先の話。

友人たちの信用を損ねるのは俺も本望ではなかったので、その時セフレだった1人と付き合おうと思い、告白フェイズに移行するために招集をかけた。

 

だが・・・

 

 

 

「ごめん、彼氏が出来た(^^)」

 

 

 

思わぬ訃報が飛んできた(汗)

 

他人の好意に付け込んだ報いだと思った。俺が相手を利用していたように相手も俺を上手く利用したに過ぎない。いや、これは報いと言えるほどの出来事でもない。本当の非モテ懲役刑はこのあと始まるのだから。

これを最後にやることなすこと全てが空回り始めた。

就職したのはブラック企業だった。与えられる業務は日に日に増える一方。勤務時間も長くなりストレスは蓄積されていく。もはや恋愛する気力すら起きない。

休みの前日は地元の友人たちと朝まで飲み明かし、翌日は夕方まで爆睡。生活リズムは無茶苦茶。暴飲暴食。体重も増え、煙草の本数も増え、そして…髪の毛だけが減っていった。(今は回復した)

何の女っ気もない典型的な非モテ。情報弱者。地域に根付くマイルドヤンキー。 もちろんセックスとも無縁。過去に遊んだ時期があっただけに無駄に理想だけは高いという本当にどうしようもないゴミの出来上がり。

事業を始めてからも災難続き。同業他社の客をぶんどりまくっていたので執拗な嫌がらせを受けた。あることないこと取引先に一斉にFAXをばらまかれたり、役所や労基の人間も20代の若造相手に何十回と監査にやってきた。

腸が煮えくり返る思いだったので同業他社の息の根を止めてやろうと躍起になって徹底交戦し

やがて精神は疲弊しきっていった…

会社は何度も潰れそうになったが、その都度奇跡としか思えないような出来事が起きて首の皮一枚繋った。そんな綱渡りではあったが、その後事業は軌道に乗り始め、時間と金にも少し余裕が出てきたので本を読み漁るようになった。

そして、今より1年半前にあの本に出会って再び恋愛市場に再登板したのが今の俺の始まりだ。

 

 

さて、駆け足ではあったが過去の話を当時を思い出しながら長々と書いたものの俺は一体何を伝えたかったのだろう。

自分の情けない話をすることで誰かを勇気づけるといった大それたことではなく、俺はただ、自分のことを知ってもらいたかっただけなのかもしれない。

こんなところでカッコつけても仕方がないので正直に言うが、情けない話、俺は今でもその子のことを完全には忘れられていない。相手が俺のことなど一秒たりとも思い出すことがないのは重々承知している。

今、出会った女性を口説いて運良くばセックスして、時に相手に好意を寄せることもある。しかし、一時盛り上がった感情も相手に去られ1人になった時に未だにふとその子を思い出すことがある。

普段強気で偉そうな発言を繰り返してはいるものの、俺の根は正真正銘の非モテでナヨナヨと過去を引きずる本質は今も昔も変わっていない。

それでもやはり後ろを向くのではなく、前を向いて今を真剣に生きていこうと思っている。2年前にアドラーを知った時の衝撃はその後の俺の生き方に強い影響を及ぼした。運命の人など存在しない。仮にいるとするなら、それは待つものではなく自分で決めるものなのだ。

 

最後に余談だが、この一連の過去記事は先日リリースされたサウザーさんの白熱教室(kai編)と聞き合わせると色々とつながる部分もあって面白いかと思う。一部重複する部分もあるが互いに補完し合う内容となっている。

何だよ最後は宣伝かよ、と思われた方。これで俺の懐が温まることはないので安心してポチって頂きたい。俺はサウザーさんに勝手に恩義を感じているだけだ。

この度の白熱教室のおかげで俺のフォロワー数は大きく増えた。高いお寿司もご馳走になった。さらに収録前日の飲み代まで奢っていただいた(お前サウザーさんに大分甘えたな)。せめて大阪遠征の経費とお釣りぐらいは回収して頂きたいと思っている。

 

今回書かなかった暗黒の非モテ時代の話や再び恋愛市場に駆け出した時の話は、さらに文章力を磨いた未来の俺に託そうと思う。その時はさらに面白くて笑えるようなコミカルな感じに仕上げてみせる。

俺は自分の情けない話も笑って晒せることは過去の自分に打ち勝てた証だと思っている。そしてそれが出来る人は器がでかくて精神的に強い人だと思う。もちろん自分もそうなりたいから今こうしてここに書き記した。

恥を晒して他人に笑われるのも悪くない。吹っ切れるというのはそういうものではないだろうか。

さて、では家打診のセリフも思い出したことだし今度使ってみるか。

 

「ファブリーズって意外においしいの知ってる?」

 

 

「俺、料理得意だから今度作ってあげる(^^)」

 

 

 

カップ麺の用意をお忘れなく。

 

終演!